女性アスリート必読!その① シンスプリントから学ぶコンディショニング調整法

2024年11月14日

はじめに

こんにちは。

今回は、当院に来院した中学校で陸上部に所属
している女性選手のシンスプリントのお悩み
から学ぶ対策についてお話したいと思います。

彼女は大会前の練習量が増加したりすると
その度に脛(すね)が痛むようになり
ついに痛みが我慢できなくなり来院しました。

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検査をすると、シンスプリントを疑う症状が
強く出ていました。

シンスプリントは12歳から16歳の
若いアスリートに特に多く見られる症状で
特に女性アスリートはその発症率が
男性に比べて1.5~3倍
とされています。

また、このシンスプリントは放置したり
無理をして悪化すると疲労骨折
になったり
さらに別の疲労骨折も発症したりする
非常に厄介な障害です。

 

陸上という競技の特性上、体重に
気を使っている学生も多いですが
陸上に限らずその他、審美系スポーツ
と言われる体操・新体操・フィギュアスケート
・チアなどもシンスプリントの発症率は
高いと言われています。

この患者さんは詳しくお話を聞くと
体重が標準体重より少なく、さらに
エネルギー不足にも陥っており
それらの原因に対する複数のアプローチを
合わせて行いました。

その内容は患部の治療と運動療法に合わせ
今回のシンスプリントで一番重要な原因と
考えていた栄養指導も行ったところ
順調に回復
していきました。

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実はシンスプリントで悩む女子選手で
今回の様なケースは非常に多くあります。
骨格や筋力、成長期のホルモンバランス
性別による生理的な違いは障害のリスクに
大きな影響を与えています。

特に女性は男性に比べて
特定の怪我や障害を負いやすい
とされています。

ひと昔前に比べて多くなったのは
女性の運動機会が増えている時代の背景も
影響していると言われています。

女性と運動の歴史

皆さんご存知のオリンピックは世界中の
アスリートが競い合う場ですが
最初の大会が開催された1896年には
女性は参加できませんでした。

1900年のパリ大会から少しずつ女性の
参加が始まり、テニスやゴルフなど限られた
種目でのみ許可されていました。

しかし、徐々に女性が様々な競技に参加できる
ようになり、1928年には日本の人見絹枝選手
が陸上競技で初の銀メダルを獲得し
女性アスリートの道を切り開きました。

2024年のパリオリンピックでは、出場者の
約半数が女性に達し、男女のバランスが進展
してきていることを示しています。
女性の参加拡大は、ジェンダー平等の
重要な一歩として大きな意義を持っています。

しかし、その一方で新たな問題も出てきました。

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女性アスリートの健康問題とエネルギー不足

女性アスリートの活躍が目覚ましい一方で
健康問題も増えていきました。
特に注目すべきは「女性アスリートの三主徴
と呼ばれる3つの疾患です。

これには
・エネルギー不足(LEA)
・無月経
・骨粗鬆症が含まれます。

国際オリンピック委員会は2014年に
「エネルギー不足」の概念を提唱しました。
これは、男女のアスリートを問わずエネルギー
不足が健康やパフォーマンスに悪影響を及ぼす
ことを示しています。

どちらの概念も「エネルギー不足」に警鐘を
鳴らしており特に成長期のアスリートには
早期の予防と対応が重要です。

そもそもエネルギー不足とは?

エネルギー不足は、体が必要とするエネルギーが
不足している状態を指します

具体的には、除脂肪量1kgあたりのエネルギーが
30kcal/kg未満の場合です。
毎日の食事からのエネルギー摂取と運動による
消費を正確な評価は難しいですが以下の基準で
スクリーニングが行われます。

• 成人:BMI指数が18.5以下
• 思春期の若者:標準体重の90%以下
• 体重減少:1ヵ月で10%以上の減少

当てはまる場合は注意が必要です。

①エネルギー不足(LEA)のリスク要因

LEAに陥る原因はさまざまです。
・運動によるエネルギー消費の増加
・過度なトレーニング
・無理な減量
・極端な食事制限
・栄養知識の不足
更にはストレスなどがリスク要因となります。

これにより、急性期には代謝やホルモンを
出す部分に影響が出て長期的にはホルモン異常や
無月経、骨粗鬆症、さらにはパフォーマンス低下
などの問題を引き起こす可能性があります。

特に骨粗鬆症は回復が難しい為、10代からの介入
が重要です。女性は20歳頃に最大骨量を獲得し
その後は骨量が減少するため為、若い頃から
「骨量の貯金」をすることが必要です。

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②疲労骨折のリスク

スポーツで多い疲労骨折のリスクには
骨にかかる負担や骨の状態が関係しています。
特に女性ホルモンのエストロゲンは骨を健康に
保つために重要です。

しかし、エネルギー不足になると無月経になり
エストロゲンの減少が続くことで骨が弱くなり
疲労骨折のリスクが高まります。

このようなリスクを減らすためには
女性アスリートが低体重や無月経の兆候に注意し
早めに対策を取ることが重要です。
また選手だけではなくスポーツ従事者も
女性アスリートの健康や体のしくみを正しく理解
する事は、とても大切なことです。

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③無月経(生理が来ない状態)の評価

無月経は、次のように分類されます

• 初経遅延:15歳で初めての生理が来ていない
• 原発性無月経:18歳になっても生理が来ない
• 続発性無月経:以前はあった生理が3ヵ月以上来ていない

LEAが原因の無月経では
ホルモン(黄体化ホルモンとエストロゲン)が
低下しています。
無月経の原因は多様で、先天的な要因、ホルモン
のバランスの乱れなどが考えられます。

正確な診断と治療のためには、婦人科専門医の
受診が必要です。

早期の発見と対応

無月経や低体重はエネルギー不足の明確なサイン
であり、アスリート本人や指導者、医療従事者が
認識しやすい症状です。これらのサインを見逃さ
ないように全身の問題として捉え、適切な対応を
行うことが求められます。

出来るだけ毎日体重は計測しましょう。

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女性アスリートの健康を守るためには、
これらの問題への理解と支援が欠かせません。
アスリート自身、周囲のサポート体制が健康的な
スポーツライフを実現するための鍵となります。

 

まとめ

自分の体の状態を知ることは大切です。食事や
運動について不安がある場合は、信頼できる
大人や医療従事者の方に相談しましょう。
当院では怪我の対応から予防までサポート
致します。

健康を保つために、早期の対処が大切です。

次回は【女性アスリートの3つの特徴】を
パートに分けて詳しく解説していきます。

柔道整復師:澄田

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