女性アスリート必読!その②女性の3つの特徴~エネルギー不足編~
2024年11月27日
女性アスリートに多い「3つの特徴」とは?
前回、シンスプリントから学ぶ女性アスリートにおける
「3つの特徴」についてお話ししました。
前回の記事はこちら→
(女性アスリート必読!その① シンスプリントから学ぶコンディショニング調整法 )
その3つの特徴とは、
「エネルギー不足」
「ホルモン不全(無月経)」
「骨密度の低下(骨粗しょう症)」を指します。
特に成長期や過酷なトレーニングを行う女性
アスリートに多く見られる問題であり、将来的に
骨粗しょう症など骨が弱くなる深刻な健康リスク
を招く可能性があります。
では、なぜこれらの問題が発生するのでしょう?
その根本原因について探ってみましょう。
女性アスリート3つの特徴の始まり
エネルギー不足(最重要)
女性アスリートの3つの特徴で最も重要な要因は
「エネルギー不足」です。
利用可能エネルギー不足が不調の全ての発端に
なります。
アメリカスポーツ医学会では
low energy availability(LEA)
(利用可能エネルギー不足)
国際オリンピック委員会では
relative energy deficiency in sport(RED-S)
(スポーツにおける相対的エネルギー不足)
として、エネルギー不足の概念が提唱されて
います。
これは、栄養失調のような絶対的な
エネルギー不足ではなく、運動量が多いにも
かかわらず食事からのカロリー摂取が足りて
いない「相対的なエネルギー不足」を指します。
例えば、練習やトレーニングでエネルギー
をたくさん消費したにも関わらず
摂取カロリーが不足していると
トレーニングでエネルギーを使いすぎて
身体に必要なホルモンや骨密度を維持する
ためのエネルギーが足りなくなります。
これにより
ホルモンバランスが崩れ、骨密度の低下を
招きやすくなるのです。
エネルギー不足をどう見極めるか?
日本の栄養摂取基準と体重管理
日本でも栄養摂取基準の改訂により、エネルギー
の過不足を「体重」で判断するようになっており
体重は客観的評価指標のひとつとして重要ですが
一度の測定では判断が難しく、過去からの変化や
傾向を把握することが求められます。
具体的には、除脂肪量1kgあたりのエネルギーが
30kcal/kg未満の場合です。
増量時であれば除脂肪体重×40が適切とされ
減量時であれば除脂肪体重×30~35
基本的に除脂肪体重×30を切る数値は危険です。
言葉で並べるととても複雑で難しいので
これから紹介する除脂肪体重の計算をしてみてください。
除脂肪体重の求め方
体重(kg) −(体重(kg) × 体脂肪率(%) )
(例)体重60kgで体脂肪率が22%の女性の
場合の除脂肪体重
60(kg)−(60(kg)×22/100)=46.8kg
つまりこの例では
46.8×40=1,872kcal(通常適正)
46.8×30~35=1,404~1,638kcal(減量時)
1,404kcal以下では危険数値です。
あなたの必要摂取エネルギーはいくらですか?
自分の身体に合ったエネルギーの摂取量は
置かれている環境によって変化します。
また、毎日の食事からのエネルギー摂取と運動
による消費を正確な評価は難しいですが以下の
基準でもスクリーニングが行われます。
• 成人:BMI指数が18.5以下
• 思春期の若者:標準体重の90%以下
• 体重減少:1ヵ月で10%以上の減少
当てはまる場合は注意が必要です。
これにより、エネルギー不足の早期発見が
しやすくなり、リスクの高まる前に対策が
取れるようになるのです。
まずは、日頃の食事で
除脂肪体重×40を目指しましょう
エネルギー不足になりやすい人の特徴
この様な食生活の人は要注意です。
□ 朝食を抜く習慣がある。
□ 体重管理の為にご飯やパン、麺類を控える。
□ 食べ物のカロリー削減を意識しすぎる。
□ 運動前の食事量を減らしている。
□ 練習や遅い帰宅で疲労し食事が進まない。
なぜちゃんとチェックすることが大事?
客観的評価の重要性
エネルギー不足の判断や栄養状態の把握には
体重以外にも客観的な評価基準が必要です。
病院やクリニックでの一度きりの診断では
その場限りの判断しかできません。
したがって、エネルギーや栄養状態の継続的な
モニタリングが重要です。
エネルギー不足による影響は以下の状態に
陥り易くなります。
1. ホルモンバランスの乱れ(要注意)
エネルギーが不足すると、体は「省エネモード」
に入り、不要な機能を抑えようとします。
特に女性ホルモンの分泌が減りやすく
月経不順や無月経になることがあります。
このホルモンバランスの乱れは、体の調子や
メンタルにも影響を与えるため、パフォーマンス
にも悪影響を及ぼすことが多いです。
2. 骨密度の低下(要注意)
エネルギー不足によりホルモン分泌が乱れると
骨の健康にも影響が出ます。
女性ホルモンは骨の形成に関わっており
ホルモンが不足すると骨密度が低下しや
すくなります。
骨が弱くなると疲労骨折などのリスクが増し
アスリートとしてキャリアにも悪影響を
及ぼす可能性があります。
3. 筋肉量の減少
エネルギーが不足すると、体は筋肉を分解して
エネルギーを確保しようとします。
このため、筋肉量が減少し、力が発揮できなく
なることがあります。
また筋力の低下はケガのリスクも高めるため
トレーニングや競技の成果にも影響が出ます。
4. 免疫力の低下
エネルギー不足は免疫機能にも悪影響を与え
体がウイルスや感染症に対する抵抗力を弱める
ことがあります。これにより、風邪を引きやすく
なったり、体調を崩しやすくなったりするため、
練習や試合に出られない事が増えてしまいます。
5. 集中力や精神面への影響
エネルギー不足で脳への栄養が足りなくなると
集中力が低下したり、イライラやストレスが
増えたりすることがあります。
特にアスリートにとって集中力やメンタルの
安定は重要ですがエネルギー不足によって
これが損なわれると競技中に思うような
パフォーマンスが出せないことが増えます。
まとめ:エネルギーをしっかり摂取する重要性
女性アスリートにとって、エネルギー不足は
体と心に多くの悪影響をもたらします。
適切なエネルギーと栄養をしっかりと補給し、
トレーニングや競技に必要な体調を維持する事が
大切です。
エネルギー不足のリスクを防ぎ、健康で長く競技
を続けられるよう、バランスの良い食事と適切な
休息を心がけましょう。
次回は【女性アスリートの3つの特徴】
月経機能不全(ホルモン不全・無月経)について
解説していきます。
柔道整復師:澄田
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