自律神経を整えるための呼吸の重要性:鍼灸師の視点から

2024年07月16日

はじめに

皆さんは、呼吸に関するお悩みを抱えていませんか?

日常生活で「息苦しい」「呼吸が浅い」「胸が圧迫されるような感じがする」と感じることはありませんか?

もしかすると、こうした症状は自律神経のバランスの乱れが原因かもしれません。

この記事では、呼吸と自律神経の関係について詳しく解説します。

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自律神経の重要性

自律神経とは?

自律神経は、私たちの体内で多くの自動的なプロセスを管理している神経系です。これらのプロセスには、心拍数、消化、呼吸、血圧、体温調節などがあります。

簡単にいうと、自律神経は内臓の働きを調整している神経です。

私たちが意識しなくても、これらの機能は常に働いています。

自律神経は、主に交感神経と副交感神経の二つに分かれ、それぞれが異なる役割を果たしています。

交感神経

交感神経は、体がストレスや緊急事態に直面したときに活性化します。交感神経が活発になると、次のような反応が起こります。

  • 心拍数の上昇: 心臓が速く鼓動し、体中に血液を迅速に送ります。
  • 血圧の上昇: 血管が収縮し、血圧が上がります。
  • エネルギーの放出: 肝臓がグルコースを放出し、筋肉にエネルギーを供給します。

これらの反応は「闘争か逃走か(Fight or Flight)」反応と呼ばれ、体を緊急事態に対処するモードに切り替えます。例えば、危険を感じたときにすぐに行動できるようにするためです。

副交感神経

副交感神経は、体がリラックスしているときに優位になります。副交感神経が活発になると、次のような反応が起こります。

  • 消化の促進: 消化器官が活発に働き、食べ物を効率よく消化します。
  • 心拍数の減少: 心臓の鼓動がゆっくりになり、体がリラックスします。
  • 体の回復: 体の修復と回復が促進されます。

この反応は「休息と消化(Rest and Digest)」と呼ばれ、体を休息と回復のモードに導きます。食事後やリラックスしているときにこの反応が働きます。

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呼吸の役割について

1. 酸素の供給

呼吸を通じて、私たちの体は空気中の酸素を取り入れます。酸素は肺に入り、血液を通して全身の細胞に届けられます。酸素は、細胞がエネルギーを作り出すために重要な要素です。

2. 二酸化炭素の排出

私たちの体がエネルギーを作り出す過程で、二酸化炭素という老廃物が生成されます。呼吸によって、この二酸化炭素を体外に排出します。これにより、体内の酸素と二酸化炭素のバランスが保たれます。

3. 自律神経の調整☆

呼吸のリズムや深さは、自律神経系に大きな影響を与えます。

  • 深い呼吸: 深くゆっくりとした呼吸は、副交感神経を刺激し、体をリラックスさせます。これにより、心拍数が落ち着き、血圧が低下し、全身の緊張が和らぎます。
  • 浅い呼吸: ストレスや緊張状態では、呼吸が浅く速くなりがちです。これは交感神経を刺激し、心拍数や血圧が上昇します。

呼吸と自律神経の関係

呼吸が自律神経に与える影響

呼吸は、自律神経に直接的な影響を与える重要な役割を果たしています。

自律神経は、心拍数や消化、体温調節など、多くの体内のプロセスを管理していますが、これらは意識的にコントロールできません。

しかし、呼吸は意識的にコントロールできる数少ない方法の一つであり、呼吸を通じて自律神経のバランスを整えることができます。

深呼吸の効果

深呼吸は、副交感神経を活性化し、体をリラックスさせる効果があります。深くゆっくりとした呼吸がもたらす主な効果は次の通りです:

  • リラックス効果: 深呼吸をすると、副交感神経が優位になり、心拍数が減少し、血圧が下がります。
  • ストレス軽減: ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑制され、ストレスや不安感が軽減されます。
  • 酸素供給の向上: 深呼吸により、肺に多くの酸素が取り込まれ、全身の細胞に十分な酸素が供給されます。これにより、エネルギーレベルが向上し、疲労感が軽減されます。
  • 心の安定: 深呼吸は、心の安定を促進し、集中力や精神の明晰さを向上させます。

浅い呼吸がもたらす健康リスク

浅い呼吸は、さまざまな身体的不調や疾患のリスクを高める要因となります。以下は、浅い呼吸が続くことによって引き起こされる可能性のある主な疾患です。

高血圧

浅い呼吸は交感神経を刺激し、血圧の上昇を引き起こします。これが長期間続くと、高血圧症のリスクが高まります。

心臓病

交感神経の過剰な刺激により、心拍数が上がり、心臓に負担がかかります。これが心臓病の原因となることがあります。

不安障害とパニック障害

浅い呼吸は不安感を増幅させ、交感神経を刺激するため、不安障害やパニック障害を引き起こすリスクがあります。

慢性疲労症候群

酸素の供給が不十分なため、全身のエネルギーレベルが低下し、慢性的な疲労感を感じるようになります。

睡眠障害

リラックスできないため、睡眠の質が低下します。不眠症や浅い眠りが続くことで、日中の疲労感や集中力の低下が生じます。

胃腸障害

副交感神経が十分に働かないため、消化機能が低下します。これにより、消化不良や便秘、胃炎などの胃腸障害が発生しやすくなります。

免疫機能の低下

ストレスが持続すると、免疫機能が低下し、風邪や感染症にかかりやすくなります。

頭痛と偏頭痛

浅い呼吸による酸素不足は、脳への酸素供給を減少させ、緊張性頭痛や偏頭痛を引き起こすことがあります。

慢性疼痛症候群

浅い呼吸は体の緊張を引き起こし、肩こりや腰痛などの慢性的な痛みを感じることがあります。

呼吸器疾患

浅い呼吸は、呼吸器系の機能を低下させ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などのリスクを高めます。

鍼灸で呼吸を整える

身体が緊張していると、深呼吸をしてもうまくできず、かえって肩や背中に力が入ってしまいます。鍼灸施術では、これらの緊張をほぐすことを目的としています。

1、肩甲骨周りの筋肉の緊張

2、横隔膜や季肋部(脇腹)周辺の緊張

上記の理由で正常な呼吸運動が妨げられます。

副交感神経の活動を高め、交感神経の活動を抑制することで、ストレスの軽減、リラクゼーションの促進、呼吸と心拍数の安定化を図ることができます。

また、姿勢を改善することも深い呼吸には重要です。

しかし、肩甲骨周りの筋肉が緊張していると、良い姿勢を維持するのが難しくなります。

そのため、ストレッチや筋力トレーニングなどのセルフケアを行うか、鍼灸や整体の施術を受けることをお勧めします。

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まとめ

呼吸に関するお悩みや不調は、自律神経のバランスの乱れが原因であることが多いです。

深呼吸は副交感神経を刺激し、リラックス効果やストレス軽減、酸素供給の向上など、多くの健康効果をもたらします。

しかし、浅い呼吸が続くと、高血圧、心臓病、不安障害、慢性疲労、睡眠障害など、さまざまな健康リスクが高まります。

鍼灸治療は、こうした呼吸の問題を根本から改善する効果的な方法です。

身体の緊張をほぐし、正常な呼吸を妨げる要因を取り除くことで、深い呼吸を可能にし、自律神経のバランスを整えます。

肩甲骨周りや横隔膜、脇腹の緊張を和らげることで、深い呼吸ができるようになります。

もし「息苦しい」「呼吸が浅い」と感じているなら、鍼灸治療を試してみてください。

 

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