女性アスリート必読!その④女性の3つの特徴~疲労骨折編~

2025年02月17日

「女性アスリートと疲労骨折:予防と対策」

今回でシリーズ4回目です。

女性アスリートの3つの特徴のラストの疲労骨折
についてのお話になります。エネルギー不足や
生理不順よりも疲労骨折というワードはスポーツ
をしていると身近に感じたり実際に経験したりし
た方も多いのではないでしょうか?

当院でも足やスネが痛くなって来院されるケース
が多く、その多くは思春期の女性が多い傾向にあ
ります。女性アスリートが疲労骨折になるリスク
は、数多くの要因によって高まることがあります。

 

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女性アスリート必読!その① シンスプリントから学ぶコンディショニング調整法

女性アスリート必読!その②女性の3つの特徴~エネルギー不足編~

女性アスリート必読!その③女性の3つの特徴~ホルモン編~

 

疲労骨折は、骨への反復的なストレスによって
発生し、特に長距離ランナーやジャンプ競技、
審美系のアスリートに多く見られる症状です。
また、水泳競技で急な陸上でのトレーニングなど
で発症も考えられます。

今回はその疲労骨折の予防や対策についてまとめ
ました。

1. 事例の紹介

まずは、当院にスネの痛みで来院された中学生の
女の子の症状発生から治療、復帰までの事例を紹
介します。

イラスト 整体師 (285 無料写真)

発生原因

大会が近い為、2か月前より陸上の中距離の走練
習を強化。練習開始2週間後に右のスネ周辺に押
さえた違和感と練習後の軽度の痛みを感じる。
その後も練習を続け痛みが出て1か月後に来院。

練習がハードになり疲労により以前に比べ食事が
少なくなっている。

検査
  • スネの内側から内くるぶしに向けて圧痛
  • 片足ジャンプ2回で痛みで跳べない
  • 触診で患部が柔らかい(炎症特有の症状)
  • エコー検査で骨膜に肥厚・仮骨あり

 

上記の症状を総合的に判断し、スネの疲労骨折の
疑いがあり整形外科に紹介。

結果、疲労骨折と診断され当院でリハビリ開始。

疲労骨折後のリハビリテーション

骨の回復に有効な低出力超音波の患部照射を開始
今回負傷した原因を動作分析・観察・機能評価・
受傷前のビデオ動画にて動作の特徴を確認する事
でスポーツ再開するまでに改善する動作を把握。

また、本人のBMI指数やバランス・可動域・筋力
などの内的要因(個体要因)だけではなく、環境や
トレーニング内容といった外的要因も抽出した。

動画で走動作時に痛い方の足の膝が伸びていたり
体幹の前傾、対側の骨盤の下がりを確認。

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今回のケースでは

  • 下肢の運動協調性の改善、動作の修正
  • 衝撃作用の改善
  • 足部アーチの機能向上エクササイズ
  • 股関節外転筋群の機能改善
  • 毎日おにぎり2個分のエネルギー補給

などのプログラムを作成し実施。

外的要因の指導は走行時間・距離・走速度の具体
的な強度を伝え、練習場所の違いによる負荷の指
導も行った。

 

経過

週に2~3回リハビリと照射を行い、随時当院で
患部をエコーで確認。3週間後には片足ジャンプ
10回クリアし圧痛も気にならない程度まで回復

毎日の体重測定や食事の量の指導、ケアの方法
を伝え部活の練習も合流し、その後も再発はな
い状態で過ごしている。

今回のケースでは治療だけではなく、動作分析に
よる専門的な改善や食事に対する意識改善が復帰
に繋がった事例でした。

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2. では、疲労骨折とは何か?

疲労骨折とは、ごく小さな外力の繰り返しにより
骨に慢性的にストレスが加わり、ついには骨に
微細骨折を生じた状態をいいます。ランニングの
繰り返し、走り過ぎなどにより生じ、骨にヒビの
ような状態を作り、時には完全骨折にいたること
もあります。

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体内では、常に古い骨が壊され(骨吸収)、新し
い骨が作られます(骨形成)。
今回のテーマでもある女性の身体では特に女性ホ
ルモンのエストロゲンの働きで、このバランスを
保つために骨吸収(破壊)を緩やかにします。

エストロゲンが減少すると、骨吸収の速度が速ま
り、骨量が減少してしまいます。無月経が続くと
エストロゲン低下が長期化し、疲労骨折のリスク
が高まります。

3. 疲労骨折のリスク要因

自分の年齢や関わっているスポーツ種目に多い
疲労骨折部位や原因動作などを知っておくことは
予防の面からも非常に重要です。

陸上競技/マラソン/女の子のイラスト | 無料のフリー素材 イラストエイト

年齢
  • 小学生〜中高年まで幅広く分布
  • 16・17歳に大きなピーク
  • 中学生と高校生で約2/3
好発部位
  • 脛骨(すね)
  • 中足骨(足の甲)
  • 腓骨(すねの外側)
  • 腰椎

スポーツ関係では特にスネと足の甲が多いと覚え
ておきましょう

スポーツ種目
  • 陸上競技
  • バスケットボール
  • 野球
  • サッカー

原因となった競技種目は陸上競技が多く、中でも
中長距離選手が最も多いと報告があります。

原因動作
  • ランニング
  • ダッシュ
  • ジャンプ
  • 切り返し動作など

4. 主な症状と診断方法

主な症状

疲労骨折の前兆や初期症状は、非常に軽微で、
日常生活ではほとんど痛みを感じません。運動を
している時や運動後に軽い痛みを感じることがあ
りますが、その痛みが強くないため、多くの人は
ただの筋肉痛や捻挫だと思い込んでしまいます。

 

しかし、これが疲労骨折のサインで注意が必要が
もしれません。

涙をこらえている人のイラスト(女性)

疲労骨折が進行すると、普通に歩くなどの日常の
動作でも痛みを感じるようになります。さらに、
疲労骨折のある部分を押すと痛みがある「圧痛」
という状態が起こり、その部分が少し盛り上が
ってきます。

これは骨折が修復されようとして新しい骨が形成
されるためです。

検査

症状の多い部位の足に関しては、片足で2~3回
のジャンプが痛みで困難などの症状が現れたら
疲労骨折の可能性が高いと考え、早めに診察を
受けることが大切です。

医療機関での診断はレントゲン検査や
おかしいなと思い始めた初期ではエコー検査が
有効です。

4. 予防と治療

女性アスリートと疲労骨折の治療対してはエネル
ギーバランスの改善が最も優先されます。食事の
量を増やし運動量を減らすことが重要です。

食事のイメージ

 

最優先事項

アメリカのスポーツ医学会やオリンピック委員会
の改善指標では

  • 減少した体重を回復させる
  • 正常月経周期に戻す
  • 成人はBMI18.5、思春期は標準体重の
    90%以上
  • 一日2,000kcal 摂取
  • 1日あたり200~600kcal 増やす

などといった改善が提唱されています。
怪我の場合は体の回復に重点を置きましょう。

治療

ほとんどがエネルギーバランスの改善と運動量を
減らすことで改善しますが、3か月以上痛みが続
き練習にも支障があった場合は難治性と判断され
るケースが多く、特殊な超音波治療器などが必要
になる場合があります。

また、早く痛みが消失した場合でも復帰計画を疎
かにし、直ぐに本練習に参加すると再発の可能性
が非常に高くなります。

予防

疲労骨折の発症前はランニングや動作痛だけでは
なく、押さえても痛い時期がありセルフチェック
も重要です。運動量の調整や栄養も大切ですが、
身体機能の向上が予防にも繋がります。

体幹部分の強化や下半身の柔らかさ、可動域を広
げたり、全身を使った協調運動動作の獲得も大切
です。

 

まとめ

これまで話してきた3つの徴候の中でエネルギー
バランスを保つことは、女性アスリートが競技で
最高のパフォーマンスを発揮するための基盤であ
るだけでなく、将来の健康を守る重要な要素でも
あります。

日々の生活に適切な栄養摂取と十分な休息を取り
入れることで、エネルギー不足を防ぎ、心身のバ
ランスを整えることが可能です。長期的な視点で
健康と競技力を両立させ、持続可能な成長を目指
していきましょう。

未来の自分の為に、今日からエネルギーバランス
を意識した生活を始めてみませんか?

柔道整復師:澄田

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