楽しい野球ライフを守る!小学生の野球肘対策

2024年10月25日

1. 野球肘について

野球肘とは何?成長痛?筋肉痛とは違うの?

という質問は野球をされている子どもさんの保護者の方から非常に多く寄せられます。

先ずは、お伝えするべきは野球肘は病名ではなく成長期に投球数が多くなったり、フォームの不安定、身体のバランスが崩れて肘の部分に生じる運動障害の総称です。

総称ですので肘の内側や外側、後ろなど肘の部分でも様々あります。

練習の休息で治るケガや、最悪の場合手術に至るケースも少なくありません。

肘に負担がかかる原因をしっかり取り除く事が今後の野球ライフを楽しく過ごせるキーポイントとなります。

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2. 子どもたちになぜ発生しやすいのか

子どもと大人の身体で大きく違う点は「成長途上にあり、骨が伸びている」ということです。

子どもの肘は軟骨が豊富で6か所に骨の端に軟骨があり、軟骨から大人の骨になる時期がそれぞれ異なります。早い軟骨は生後5ヶ月から10年かけて骨化が進む箇所や、12~14歳で軟骨が発生し2~3年で骨化する箇所もあります。

学童野球に携わる先生たちは骨化過程のどの時期に障害が起こるか知ってておく必要があります。

もう一つは【壊れる原則】です。

物が壊れる原則として最も弱い部分が破壊されますが、身体の場合は年齢によって変化するということです。この最も弱い部分は骨化が完了する軟骨の事です。学童期に腱断裂や重度な肉離れが無いのはこのためです。

12歳頃までは骨端(軟骨)の障害が多く、骨化が終了し成熟した17歳前後では軟部組織の筋・腱・靭帯・といった障害が多くなります。

3. 野球肘の症状

肘付近の障害は様々ですが、野球に関する共通の症状は投球時や投球後に肘の痛みが現れるとことです。その他に投球で痛みが無くても次の症状が見られれば検査が必要です。

  • 肘が左右同じように伸びない
  • 肘が左右同じように曲がらず、肩に手が届かない
  • 手首が左右同じように捻れない
  • 急に動かせなくなる など…

運動制限はなくても、違和感があれば検査をオススメします。

特に肘の外側が痛いケースは重症度が非常に高く、即刻投球を中止し受診をお願いしています。

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4. 予防方法・早期発見

子どもの将来の夢や目的を奪わない為にもケガ予防が必要である事は間違いありません。

しかし予防と言っても様々ありどれも一理あります。それ故に肘だけに注意するのは良くありません。

肘が悪いわけではなく肘に負担がかかる身体の使い方や柔軟性・筋力のバランスが最重要です。つまり肘のケガは原因ではなく結果。被害者な訳です。

上記に記載した様な症状が現れていたら分かりやすく、患部の治療が優先になり治療方法も明確になりますが、痛みも含め違和感を未熟な学童に正確に表現してもらうことは困難です。

また、投球時に柔軟性だけではなく筋力面でも未熟であり、例えば肘下がりや体幹が横にぶれるなど下半身からの運動連鎖が破綻した投球動作になっている場合が多い傾向にあります。

筋力は運動発達上どうしても年月が必要になります。このような非効率の動作であっても弱い軟骨部分に出来るだけ負担が少なくなるような全身の柔軟性を備えていることが望ましいです。

つまり早期に予防に努めるには柔軟性の評価と基礎筋力が最大のポイントとなります。

 

5. 親とコーチの役割

ここで是非とも選手や保護者、指導者に知っていて欲しい事があります。

それは【青少年の野球障害に対する提言】です

1) 野球肘の発生は11,12 歳がピークである。従って,野球指導者はとくにこの年頃の選手の肘の痛みと動きの制限には注意を払うこと。野球肩の発生は15,16 歳がピークであり,肩の痛みと投球フォームの変化に注意を払うこと。

2) 野球肘,野球肩の発生頻度は,投手と捕手に圧倒的に高い。従って,各チームには,投手と捕手をそれぞれ2 名以上育成しておくのが望ましい。

3) 練習日数と時間については,小学生では,週3 日以内,1 日2 時間をこえないこと,中学生・高校生においては,週1 日以上の休養日をとること。個々の選手の成長,体力と技術に応じた練習量と内容が望ましい。

4) 全力投球数は,小学生では1 日50 球以内,試合を含めて週200 球をこえないこと。中学生では1 日70球以内,週350 球をこえないこと。高校生では1 日100 球以内,週500 球をこえないこと。なお,1 日2 試合の登板は禁止すべきである。

5) 練習前後には十分なウォームアップとクールダウンを行うこと。

6) シーズンオフを設け,野球以外のスポーツを楽しむ機会を与えることが望ましい。

7) 野球における肘・肩の障害は,将来重度の後遺症を引き起こす可能性があるので,その防止のためには,指導者との密な連携のもとでの専門医による定期的検診が望ましい。

日本臨床スポーツ医学会より引用

 

6.野球でケガをする子どもの特徴

当院に野球で肩や肘を痛めて来られた子どもをヒアリングした一例です。参考までに以下の傾向が多く確認できました。

外的要因や内的要因は

  • 練習時間が長く、週末は試合が多い
  • 練習メニューが体力レベルに合っておらず個別性ではない
  • 柔軟性・筋力の評価が低い
  • 同じスポーツだけ行っている
  • 食事が偏食
  • 睡眠時間が短い
  • 入浴時間が少ない(シャワーで済ます)
  • 指導者の運動障害に対する知識
  • 一度も肘や肩のチェックをしたことがない

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チームの事情は様々で人数が少ないチームや勝ちにこだわりたいチームなどあります。

指導方法やトレーニングに明確な答えはありませんが、主役は子どもたちです。

子供たちが安心して楽しめる環境を作る為には、治療の立場、保護者の立場、指導者の立場。この3つが同じ目標を掲げベストな提案をしていく事が野球ライフを充実してくれると思っています。

 

6. まとめ

当院では野球肘に関する相談や評価・エコーを使ったチェックも行っております。

記事を読んで気になれば一度ご相談下さい。

柔道整復師:澄田

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