転倒で多いケガ① ~鎖骨骨折~

2024年02月29日

運動する機会が多くなりました

柔道整復師の澄田です

少しずつですが気温も上がり、春に近づいてきている感じがしますね。

冬場の体づくりを終え、スポーツの大会や実践の練習も増えてきている方も多いのではないでしょうか?

しかし大会や練習試合が久しぶりだと、コンタクトスポーツを中心についついバランスを崩して転倒。なんてことも多いかと思います。

そこで、今回から少しシリーズ化して転倒に多いケガを載せていきます。

第一弾は意外と多い鎖骨(さこつ)骨折です。

この鎖骨が折れる骨折は、全骨折中約10%を占めるほど多い骨折のひとつです。

今回は当院での症例も掲載しております。

もしもの時の参考にして頂けたら嬉しいです。

1. 鎖骨(さこつ)について

鎖骨(さこつ)は、人間の上半身の骨一部で、肩甲骨と胸骨をつなぐ役割を持つ長い骨です。首のすぐ下、肩の上に横に位置し、左右に一本ずつあります。この骨は、腕を動かすときの支点となり、腕の動きをサポートするとともに、胸の部分を保護する重要な役割を果たしています。

また、鎖骨は比較的表面に近い位置にあるため、様々な衝撃によって骨折しやすい部位の一つでもあります。

話は逸れますが、美容やファッション関係でいうデコルテの位置に該当しますね。

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2.原因

鎖骨骨折は、様々な受傷機転(けがの原因となる動作や事故の状況)によって引き起こされることがあります。ここでは、鎖骨骨折を引き起こす一般的な原因について説明します。

自転車転倒:自転車に乗っていて、急にバランスを崩し転倒。直接肩に衝撃が加わり鎖骨骨折。

スポーツ中の衝突:サッカーやラグビーで他のプレイヤーと衝突し、肩から地面に強く打ち付けられ鎖骨骨折。

交通事故:オートバイや自動車の事故に遭遇し、衝撃で鎖骨にダメージを受け骨折。

スキー・スノーボード事故:スキーやスノーボードで転倒し、手をついた際の間接的な衝撃で鎖骨骨折。

転倒事故:つまずいて転倒し、手を伸ばして衝撃を和らげようとしたが、その反動で鎖骨骨折。

これらをみると、鎖骨骨折は、直接的な衝撃や手や腕を着いた時に間接的な力が鎖骨に加わった時など様々で発生しやすいですね。

 

骨折をした瞬間の感覚はゴクッ、ボコッ、など肩周りに鈍い音を感じたと訴える方が多いようです。

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3.症状と特徴

変形の程度: 骨折した鎖骨の断片がズレる(変位)ことで、肩のラインに明らかな変形が見られることがあります。重度の変位では、骨の一部が皮膚の下で突出して見えることもあります。

骨折の位置による変形の違い:

  • 中央部の骨折: 最も一般的な骨折で、肩のシルエットに影響を与える可能性があります。
  • 外側部の骨折: 肩の関節に近いため、肩の形が不自然に見えたり、腕をうまく動かせなくなることがあります。(肩鎖関節脱臼と症状が似ている為、注意)
  • 内側部の骨折: 胸骨に近い部分で発生し、このタイプの骨折は比較的珍しい

 4.治療方法・固定期間

保存療法

三角巾:骨折した腕を支えるために使用します。腕と肩にかかる重さを軽減し、鎖骨の安定と自然治癒を促します。

軽度から中度の鎖骨骨折に適しています。

8字帯固定:特に子供の鎖骨骨折治療にしばしば用いられます。肩を後ろに引き、正しい位置で鎖骨が治癒するのを助けるために使用さます。

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手術的療法

プレートとネジによる固定:骨折した鎖骨の断片を正確な位置に戻し、金属のプレートとネジを使用して固定します。

重度の変形がある場合や、骨折が複雑で非手術治療では治癒が難しい場合に適しています。

ピンやワイヤーによる固定:骨折部位に応じて、ピンやワイヤーを使用して骨を固定する方法もあります。

この方法は、骨折の種類や位置、患者の状態によって選択されます。

内視鏡手術:最小限の切開で行うことができる手術法です。回復が早く、傷跡が小さくなるなどの利点がありますが、すべての鎖骨骨折に適用できるわけではありません。

固定期間

成人:一般的に、三角巾や8字包帯での固定期間は3〜6週間が目安です。しかし、骨が完全に治癒するまでにはさらに時間がかかることがあり、完全な回復には6週間から12週間程度要する場合が多いです。

子供:子供の場合、骨の回復が早いため、固定期間は成人よりも短く、2〜4週間程度であることが一般的です。

手術的治療

手術後の固定期間は、手術の種類や骨折の複雑さにより異なりますが、多くの場合、手術後4〜6週間は固定が必要です。プレートやネジを用いた固定手術を受けた場合、骨の治癒を確認するための追加的な診察が数回行われることがあります。

リハビリテーション

固定を外した後も、完全な回復にはリハビリテーションが必要です。リハビリは、固定期間が終わった後すぐに始められることが多く、数週間から数ヶ月続くことがあります。

リハビリの期間と内容は、患者の回復状況に応じて調整されます。

これらの期間はあくまで目安であり、治療を受ける際には、医師から具体的な指示を受けることが大切です。また、骨折の回復状況は定期的な医療チェックによって評価され、固定期間やリハビリの進行状況はその都度調整されることが一般的です。

固定除去してからのリハビリがとても重要という事ですね。

5.生活への影響

固定期間も長く、引っ付きにくい形状もしていますので、衣服の着替えや食事・入浴・利き手による損傷の場合だと仕事や勉強にも大きな支障は出てきます。

固定期間は動かせる範囲の手を握るなどのリハビリは積極的に行うと良いでしょう。

6.症例

これは、先日柔道で腕をついた際に受傷し、当院に急患で問い合わせがあり対応したお子さんの所見のエコー写真です。

左:患側  右:健側

受傷時に鎖骨付近に音と同時に痛み有。腕の挙上が困難。

診察時に全身症状と神経血管損傷の確認は怠ってはいけません。

鎖骨の中央部のテント状の変形。圧痛。鑑別疾患も忘れずに。

エコーで受傷部位を確認。骨折線が確認できますね。

転位は殆ど確認できなかったので、年齢も考慮して三角巾で鎖骨骨折の吊り方を行い翌日専門医の受診をしてもらう為紹介状を作成しました。

確定診断では鎖骨骨幹部骨折。幸い、中央の骨折は治りが早いです。

良かったです。

今回のケースは専門医の先生から当院でのリハビリの許可が出ており、指先から前腕部の運動療法と患部の物理療法を頑張ってやってくれています。経過は凄い順調です。若いっていいですね(笑)

7.まとめ

再発や転倒を予防するという観点から申し上げますと、やはり身体機能の向上を目的としたトレーニングやバランストレーニングが最適です。

どの年齢にも当てはまります。

当院では、受傷時の問診を基に発生のメカニズムの仮説を立て必要な項目の整形外科テストを行います。徒手検査以外にもエコーを用いた検査も行い、より正確な場所や原因を見つけ出すことも出来ます。

今回のように骨折の疑いがある場合は1秒でも早く正しい固定をするという事です。

処置後は専門医に紹介状を作成しております。

転倒や急なケガでお困りでしたら当院にお問い合わせ下さい。

柔道整復師 澄田

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